開発背景
出会い
日本パーミルでは、新しいタイプのクリア塗材の研究を進めていました。
これまでも、各種塗材の開発を行う中で、紫外線による品質劣化に対する各種遮へい材等を適用してきましたが、私たちは、新たな素材と組み合わせた今までにない「超耐久性塗材」開発の為に日々研究を重ね、模索していました。
そんな時、当社顧問より兵庫県立大学にて研究されていた酸化チタン素材を紹介されました。
私たちは大学での話や研究資料、データなどから、これまでの常識に捕らわれない、新たな可能性をその素材に感じました。その素材こそ酸化チタンナノチューブなのです。
社内での予備試験において、今まで疑問を抱いていた点を解決する事もできました。
新たな可能性の予感
2011年1月
酸化チタンナノチューブは光触媒と同じ素原料、二酸化チタンを原料としていますが、その機能は光触媒と同じ機能を持つとともに、そのチューブ状の特異な形状、構造から光触媒にはない新たな機能とその応用、多様性に大きな可能性を感じました。
最大の特徴は、紫外線に対して光触媒活性をコントロール制御することができることであり、紫外線をエネルギーなどに転換する時にその周りの有機物を劣化させないことです。
プロジェクトの立ち上げ
酸化チタンは、ふだん、白色の顔料や着色料に使われたり、紫外線から肌の日焼けや建物の壁などの汚染を防止(セルフクリーニング作用)したり、衛生的な施設での殺菌などの光触媒として使われていますが、効果を維持し続けることには限界がありました。
用途に応じてさまざまな素材の製品が開発される中、私たちは、酸化チタンナノチューブをコントロールし、新しい製品への展開、可能性を実現させるための共同プロジェクトをスタートさせました。
新たな素材、「酸化チタンナノチューブ」と私たちの持つ「技術」を重ね合わせる事で、今までの常識を変えるほどの技術を提供していく事が可能となります。
アイデアと技術が融合する、私たちの酸化チタンナノチューブは、ナノ粒子をあらわすnano、新しい素材への期待、進化と深化、究極のZと未知、未来への広がりXのイメージを具現化する、nanoZX(ナノジークス)と名付けました。
見えない道を切り開く
ナノテクノロジーという目に見えない特殊な技術なため、確認方法、検査方法、すべてが未知数でした。
● 研究室レベルの脱却
研究室内のみで生み出されていたmgレベルの素材生産方法から、量産に向けての可能性を見出し研究室内にとどまらない広い分野での活用が可能になりました。
●酸化チタンナノチューブをコントロール
新しい製品への展開、可能性を検討し、それまで研究室レベルでしか合成できなかった酸化チタンナノチューブの量産技術を確立しました。
その後、数々の実験、検証を繰り返し、一歩進んでは後退しながらも「ごくわずかな前進が、未来への一歩になる。」と信じて進みました。
時には、日本パーミルと大学との距離がネックとなりました。トラブルや実験反応がすぐに実際に確認することができないために、状況把握や会議、開発に対するジレンマを感じることもありました。
また、予備実験において酸化チタンナノチューブの特異な形状による予期せぬ挙動を示しました。予備実験、議論を繰り返し、知見を出し合い、制御技術の検討と確立に導き、工業化に向けた量産を視野に入れ度重なる会議と研究が続きました。
- 2012年4月
- 兵庫県立大学内に日本パーミル インキュベーションセンターを開設
- 2012年5月
- 塗材、アクアZXの完成素材の量産化に向けての製造設備確立への第一歩を踏み出す
- 2012年6月
- 経済産業省へ「nanoZX」の研究助成を日本パーミルが申請
- 2012年7月
- 素材及び塗材の特許出願
- 2012年9月
- nanoZX学会発表
今では、恵まれた環境で日々研究を重ねています。研究を生かす利用法「素材及び塗材」を工業展開にむけた技術的開発と実際の施工に向けての議論と打合せを続けています。
未来へつなぐ
私たちは、酸化チタンナノチューブを多角的にコントロールし、
新素材としての力を持ったnanoZX(ナノジークス)を使って新しい製品への展開、新しい可能性を実現させるための研究、開発を日夜行っています。
環境に人にやさしく、社会に有用な製品づくりを進めてまいります。
「nanoZX ~社会を変える、社会が変わる~」